2022/09/16 09:54


最近16時を過ぎると急に気温がぐっと下がる。昼間の天気は嫌なくらいに蒸し暑い位、憎い残暑を感じさせるくらいだったのに。秋の訪れを感じさせてくれる。19時を過ぎれば上着がないと少し肌寒いくらいになる。いよいよ、莨が美味しい季節がやってきたのである。実りの秋というが、我々愛煙家にとってはこの莨が美味しい天候こそ、実りである。

という訳で、この季節に合う莨をたばこ屋の視点で紹介しよう、そんな企画である。そこで、たばこのタイプ別にオススメ銘柄を紹介しようと思う。

★葉巻編
葉巻のタイプは色々あれど、その香喫味は様々なたばこのスタイルの中でも最もブルジョアな喫煙方法といって良いだろう。人気の高さで言えばキューバ葉巻が有名であるが、昨今の事情で流通がかなり不安定である。よって、キューバ葉巻以外のものを提案しようと思う。
◎ダビドフ・レイトアワーロブスト


たばこ葉をスコッチウイスキーの樽で熟成した、格別な名品。後味に感じるのは、フルーティーさにも似た唯一無二の甘味。日没が早くなる秋。その分夜は長い。夜風に当たりながら、アップルブランデー(カルヴァドス)を片手に。瓶の中で完熟した林檎の実を通して見える夕日を眺めながら、一服してみよう。時を刻むということはこういうことなのだ、と実感できるだろう。
直径約21mm×全長約125mm
5220円/本
◎ダビドフ・エスクリオロブスト


フィラーにブラジル産のシガーリーフを使用した葉巻。味わいのメインはたばこ葉がもつビターさと強さ。しかし、奥底には優しく繊細な甘味がある。ゆったりと喫煙してみよう。きっと時間がいつもよりもゆったりと流れるはずだ。あっという間に今年も終盤に差し掛かっている。一年を振り返りながら、チェイサーにライウイスキーと共に。
直径約22mm×全長約114mm
4280円/本

★パイプたばこ編
◎ロバートマコンネル・オリジナル・オリエンタル


オリエント葉がもつ甘味とフローラルさが特長のたばこ。ラタキアはその香喫味を盛り上げるためのエッセンス。火種が次へのたばこ葉と移る瞬間に、その香喫味はシャボン玉が弾けたかの様に華ひらく。
ブレンド:バージニア、ブラックキャベンディッシュ、オリエント、ラタキア、ペリク
50g/2200円
◎マイクス・レディーラブド


周りの人へ与えるアロマと実際の香喫味におけるギャップ。完熟したブルーベリーを思わせるアロマは人々を魅了する。一方で、実際の香喫味はフルーティーさをもつブラックキャベンディッシュと優しいバージニア葉の甘さ。こんなにも映えるたばこがあっただろうか。着火したその瞬間はまるで魔法の様。その世界観と秋の夜風は、一服を特別なものにしてくれる。
ブレンド:バージニア、ブラックキャベンディッシュ
フレーバー:ブルーベリー、レッドカラント(フサスグリ)、ニオイスミレ(当店の見解。公式サイトでは、具体的説明は無し。レビューサイトによってはグレープという説明、レッドカラントという説明があった。)
50g/2150円

★手巻きたばこ編
◎アークロイヤル・オリジナル


ただ甘いだけではつまらない。バニラを感じさせる甘さは一筋縄ではいかない。それは、メープルシロップを思わせる優しい甘さと、後味の完熟チェリーの様な甘味。甘すぎると、つい飽きてしまう。けれどもこれはついついもう一本吸いたくなる。月夜を眺めながら、ホットココア片手に味わってみよう。
ブレンド:バージニア、バーレー(当店独自の見解です。公式ホームページには特に情報なし)
フレーバー:バニラ、キャラメル、メープルシロップ、チェリー(当店独自の見解です。公式ホームページには特に情報なし)
30g/840円

◎RAWオーガニック・グリーン


鼻腔を抜けるのは、青々としたフレグランスが残るバージニア葉の香喫味。甘さがしっかりとしているのに、しつこくない。その面影を残す香喫味は、切なさすら感じる。終電前、最後の一杯のホワイトエールを片手に吸ってみよう。夜はまだ始まったばかりだ。
ブレンド:バージニア
フレーバー:なし
30g/1200円

★煙管編
◎小粋


ある偉人がかつて、「一瞬は永遠である」と言った。確かにそうだ。だるいことを3分するよりも、好きな子とキスする30秒の方が記憶に残る。たかがニコチン摂取のために、妥協して吸ったシガレットよりも、わざわざ所作を行った上での煙管での一服の方が満足感は大きい。小粋は購入後
すぐに簡単に愉しめる訳ではない。最適な湿度に調整した上で、緑茶を淹れる。若干タイトめに火皿へ詰めて着火しておよそ3分程度の時間。日常生活においては、ほんの一瞬の出来事かもしれない。だが、その一服はかけがえのない時間となるだろう。
ブレンド:日本在来の銘葉5品種(松川葉、達磨葉、水府葉、出水葉、指宿葉)
フレーバー:なし
10g/600円
◎いろは


いろはという言葉は、物事の基礎的要素を指す言葉である。愛煙家にとって喫煙することは、基礎的所作なのである。よって、手軽さがある。何気ない一服というものはこんなにも手軽なのである。さっとたばこ葉を丸めて火皿へと詰める。着火すると広がるのは、バージニア葉の自然な甘さ。日常の何気ない一服に、お茶やコーヒーをお供に味わう。きっといい気分転換になるだろう。
ブレンド:バージニア
フレーバー:なし
30g/750円

★シガレット編
◎ショートピース


いい莨は、必ず静寂を与えてくれる。仕事に追われる忙しない日常。流れて行く刻。その合間の喫煙で魅せてくれる静寂。高品質なバージニア葉の甘味とバニラの甘みのマリアージュ。葉から落ちる一滴の雫の様に時間がゆったりと流れる。鼻腔を抜けるバニラエッセンス。後味まで残るバージニア葉の豊かな甘味。戦後間もない頃に生まれた、平和への願いを象徴するこの銘柄。時は流れる。物事はすさまじく変化する。その中でも変化しないものがあったっていい。味わう一服は今も昔も変わらず、愛煙家を魅了してきたのだろう。
10本入り/300円
◎ラッキーストライク・ソフト


かつてその人気が故、競馬で大穴を開けた時やラッキーなことに巡りあった時に「ラッキーストライク」と人々は言うたそうな。バージニア葉、バーレー葉、そしてオリエント葉が醸し出す香喫味と仄かなチョコレートの様なアロマは謂わばアメリカンブレンドの代表格である。残り香として香るのはオリエント葉のアロマ。しっかりとした香喫味。それが故の満足感。チャコールフィルターのお陰で、その洗練された味わいを愉しめる。ここぞという時にはこの銘柄を味わってみよう。
20本入り/600円

秋と言えば紅葉狩りに収穫にオクトーバーフェストとイベントづくしである。勿論秋という季節を感じながら、キャンプを愉しむ方も多いと思う。その際に、味わうたばこ、銘柄の相談は当店のスタッフまで。