2023/09/07 12:46



たばこの説明文を翻訳することは、誠に難しいものである。元の説明文が英語の場合、語学力はもちろんのこと、たばこに関する知識がないと翻訳することは出来ない。たばこの世界は本当に広い。まだまだ分からないことだらけである。

新商品、「アムステルダマー・ダークバージニア」を早速購入して愛用している。パッケージの説明文と輸入代理店の説明文を比べた時に、気になることがあった。パッケージの英語の説明文には、

"Amsterdamer Dark Virginia is a blend of natural sweet Virginia, Burley, Dark air-cured and Dark fired Kentucky from selected farmers in South America, Africa and Asia. The stems from the tobacco leaves have been removed by hand to give the smoker the best smoking experience with a smooth and sweet Virginia flavour."

と書かれていた。一方、輸入代理店の説明文には、

「南米、アフリカ、アジアの厳選された高品質葉。バージニア、バーレー、ダークエアキュアドケンタッキー、ダークファイヤードケンタッキーをバランス良くブレンド。」と書かれている。

この日本語を読むと、元の英文のうち、産地の説明とブレンド内容を要約したものであることがわかる。私が気になったのは「ダークエアキュアドケンタッキー、ダークファイヤードケンタッキーをバランス良くブレンド」の部分である。
元の英文では、"Amsterdamer Dark Virginia is a blend of natural sweet Virginia, Burley, Dark air-cured and Dark fired Kentucky"と表現されている。
英文法的な話になるが、固有名詞の頭文字を大文字で表記することはよくある。その場合、それぞれの固有名詞が指す物事はそれぞれ別々の物事である。そう考えるならば、このアムステルダマー・ダークバージニアのブレンド内容は、バージニア、バーレー、ダークエアキュアド、ダークファイヤードケンタッキーとなる。つまり、"Dark air-cured"が意味するたばこ葉は、ケンタッキー葉とは別のものではと考えられる。
もしも、ダークエアキュアドがケンタッキー葉の一種であるならば、"Dark air-cured Kentucky and dark fired"となるべきである。英語では前後において同一の単語を繰り返すことを避ける傾向にある。その場合、最初の単語においては正式に表現をし次以降の単語では省略することが一般的である。そう考えると、敢えて前の単語を省略し後ろの単語で正式に表記することは余りにも不自然である。

では、"Dark air-cured"というたばこ葉は一体どういうものなのだろう?気になって、原料葉を扱っている海外の通販サイトやレビューサイトの掲示板などを元に調べてみたのである。
それらの情報を元に"Dark air-cured"はどういうたばこ葉であるか説明すると、
「バーレー葉と似ているが、比べるとニコチンが強く、コクがあり、シガーのバインダーやラッパー、パイプたばこ、手巻きたばこ、噛みたばこや嗅ぎたばこに使用される。シガレットで言えば黒たばこと似ている。」とのこと。
アメリカ、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、フィリピン、インドネシア等世界各地で作られていて、シガーによく使用されるスマトラ葉、ベスキ葉も場合によってはこのカテゴリに含まれる様だ。アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルで伝統的に製造されている"Criollo"(クリオーリョ)もこの一種なのだろう。
スモーキーな香り立ちが控えめにも関わらず、黒たばこやハーフスワレを彷彿させるビターさとコクがしっかりとしている「アムステルダマー・ダークバージニア」。本来は煙管用の刻みたばこであるが、手巻きたばことしても充分愉しめる。