ポール・ウインズロウ ヴァイキング・ダニッシュベント

ハンドメイドパイプを製作することは決して容易いことではない。時には、移り変わるシェイプや大きさのトレンドに合せてパイプを製作することも重要な仕事なのである。そう、謂わばマーケティングを行いながらシェイプや仕上げ等を決めなくてはならないのだ。優れたパイプ作家であるほど、どういう愛煙家が自分のパイプを愛してくれるかをシュミレーションしている様に思える。

どの様な時代や状況にあっても、「新しい風」を吹き込むことは重要なことである。パイプ喫煙というニッチな世界を絶やすことなく持続させるためには、若年層のパイプスモーカーを増やすことが先決なのである。

今までのヴァイキングは大きすぎた。もしかすればまだまだパイプ喫煙始めたてのビギナーにとって、そのダイナミックさが敷居の高さを感じさせていたのかもしれない。その結果、作家パイプの魅力を知る機会が失われ、場合によってはパイプ喫煙を辞めてしまった方もいらっしゃるだろう。

歴史を思い出せば、19世紀頃ヨーロッパにおいて、パイプ喫煙は庶民的なものであった。一方シガレットは富裕層向けであった。そう考えると、パイプ喫煙は本来気軽なものなのである。

今回入荷したヴァイキングシリーズも、気軽にちょっとした時間にパイプたばこを愉しめそうな小ぶりなシェイプが勢揃いだ。

このパイプはダニッシュベントに近いが、それにしてはボウルの高さが低めである。更にいえば、シャンクが短めであり、9ミリフィルターが使用出来るようにと太めである。ファンシーな雰囲気になりがちなシェイプであるが、そのおかげでワイルドさを持つ。このワイルドさを支えるもう一つの要は、大胆にも下半分に施された、ラスティック仕上げである。

敢えて見せないことも、魅せるための技術なのである。線の太いストレートグレインを途中まで見せ、曲線を描いた境界線をもってワイルドなラスティック仕上げを施す。このパイプの原木がどの様な様子であったのか、愛煙家の想像力に任せよう、という試みなのだ。


【スペック】
全長:約135mm
高さ:約42mm
火皿内径:約20mm
火皿深さ:約28mm
重さ:約42g

【9ミリフィルター使用可能】

※当店で取り扱う商品は、道具として使用することを前提としております。微細な傷など状態を気になさるお客様は、必ず店頭で実物をご確認ください。よろしく御願い致します。

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